木や花をみると心が落ち着きます。
炭のリラックス効果についても、耳にしたことはありました。けれど、見た目は黒いだけの炭。木や花から受ける生命力も感じません。炭のリラックス効果は、私のような炭好きさんの気のせいかも。。。
ところが、思わぬ形で炭は私たちにリラックス効果を与えていました。
炭のリラックス効果とは？
竹炭効果で高まる集中力、成績もアップ
学習塾で、竹炭が学習に及ぼす効果を比較した研究。
竹炭シートを貼った自習室と、一般の壁紙の自習室での滞在時間を比較しています。竹炭自習室の学生さんは平均滞在時間が411分、ふつうの自習室の117分の2倍以上の時間、自習を続けていました。竹炭自習室で勉強した学生さんは、実際に成績も上がっています。
竹炭自習室についての評価は「落ち着ける」「勉強しやすい」「集中できる」「リラックスできる」。「長く座っていられる」「時間が過ぎるのが早い」などのコメントもあり、竹炭自習室が快適に勉強が続けられる環境であったことがうかがえます。
快適環境の理由
なぜ竹炭の自習室が快適だったのでしょう。
理由には、いくつかの可能性が考えられます。ひとつめは、炭の調湿効果。部屋の湿度が一定に保たれているため、居心地がよく勉強に集中できた。
もしくは、炭のもつ電磁波吸収効果。電気製品などから放出される電磁波の影響で、倦怠感や疲れを感じる、集中できないといった症状が報告されています（WHO, 2006）。竹炭や備長炭を粉末にして混ぜ込んだボードは電磁波を吸収。電磁波の影響を受けにくい部屋で、落ち着いて勉強に集中できたのかもしれません。
タバコの不快感から解放
タバコの煙から受けるストレスに、竹炭がおよぼす効果も興味深いです。
タバコの煙のにおいを竹炭で消臭した場合、休息しているときにはたらく副交感神経が優位に。タバコの煙のストレスから解放され、リラックスしていることが明らかになりました。
一方の竹炭を使っていないケース。換気をして、測定器ではタバコ臭を検知できない状態でも、緊張やストレスを感じた時に活発になる交感神経は高く、ストレスがぬぐわれていませんでした。
おわりに
炭はダメージ要因を取り去ることで心落ち着く空間をつくりだし、リラックス効果を発揮。
竹炭自習室は不思議と集中できる、測定器が検知できないタバコの煙にストレスを感じる。もしかすると、私たちの感覚は思っている以上に鋭敏なのかもしれません。
＜参考資料＞ 京都工芸繊維大学 伝統みらい教育研究センター （編集）, 2016. 匠の技の科学―材料編―, 日刊工業新聞社；西村 浩樹, 桑原 教彰, 2017. 竹炭ボードが学習環境に与える影響 快適な学習空間の提供を目指して, 科学・技術研, 6:41-46；三木 雅道, 菊地 丈幸, 2005. 備長炭および竹炭粉末を含む不飽和ポリエステル樹脂の電磁波吸収特性. 粉体および粉末冶金. 52:630-634；Takao, K. et al., 2014. Evaluation of bamboo charcoal effect to comfort based on physiological data, In Vincent G. Duy (Ed.) Advances in human factors and ergonomics in healthcare. CRC Press.；WHO.
