おしまいにしたいけれど、火がついた炭がまだ残っている。
ガスコンロと違って、ボタン一つでは火が消せないBBQグリルや七輪。BBQの炭の残りが山火事につながり、捨てた本人が逮捕される事件もありました。
安全にしっかりと炭火を消す方法とは?
空気を断ちきって消火
最も安全で確実なのは、炭を容器に入れてふたをし密閉状態に保つ方法。容器の中には酸素がないのでしだいに火が消えます。消火した炭は、着火しやすい消し炭に。次の火起こしのときに使えて便利です。
火を消す容器は「消しつぼ」と呼ばれ、陶器で作られたものが一般的でした。BBQ用に、銅板を使って、火起こし器と消しつぼを一体化した商品も販売されています。ふたの閉まる金属の空き缶を使うこともできますが、缶によっては熱で変形することもあるので要注意。
消しつぼに入れた炭は、完全に消火するまでに時間がかかります。炭を入れた容器の底が熱くなるので、持ち運びには気をつけましょう。
水の中に投入して消火
すぐに消火したい場合は、トング等で火のついた炭をはさんで、水をはったバケツに入れます。一度に入れてしまうと、水しぶきと水蒸気があがり危険なので、少しずつ入れて、しばらく水につけておきます。
消火した炭は再度使えますが、炭に水分が残っているとバーンと跳ねる「爆跳」をおこすことが。一度水につけた炭は使う前に、十分乾燥させましょう。
完全に消えたか確認
炭は火が消えたと思っても、火が中でくすぶっていることがあります。上の山火事のケースも、消えたと思って砂利の上に捨てたところ、近くの燃えやすい落ち葉に飛び火したのが原因。完全に消火したかどうか、手で触わってみるのが確実です。キャンプ場など野外で使った炭や灰は、ポイ捨てせずに持ち帰り、自治体のごみの分別にあわせて捨てましょう。
これはNG:炭火に水をかけて消火
火がついている炭に、水をかけてしまうと、沸騰した水のしぶきと大量の水蒸気が発生してとても危険です。また、珪藻土でできている七輪に水をかけるのは致命傷。BBQグリルにも、ひび割れなどダメージを与え劣化につながります。
おわりに
BBQ大国、アメリカ。BBQやグリルによる火事は年間約10,600件ですが、ほぼ9割がガスの火事。木炭や固形燃料の火事は12%に過ぎません(NFPA, 2020)。安全な方法で炭をしっかり消火して、最後まで炭火焼きを楽しみましょう。
<参考資料>赤穂民報;新・ウッディライフ選書 暮らしに役立つスグレモノ炭を使いこなす 2003, 山と渓谷社;日本の森林を育てる薪炭利用キャンペーン実行委員会編, 2007. 火のある暮らしのはじめ方, 農文協;NFPA.