毎年冬になるとニュースになる一酸化炭素中毒の事故。
炭火を扱うときに、火事や火傷と同じくらい気をつけたいのが一酸化炭素です。
一酸化炭素とは?
一酸化炭素は、酸素が十分にない状態で燃えるときに発生するガスです。
炭だけでなく、石油、ガスストーブでも、換気をせずに使うと酸素不足で不完全燃焼をおこし、一酸化炭素の発生へとつながります。火災のときの煙にも多く含まれ、住宅火災で亡なくなる人の4割は一酸化炭素中毒。強い毒性をもちます。
一酸化炭素はなぜ危険?
呼吸によってとりこまれた酸素は、血液中のヘモグロビンと結合します。しかし、一酸化炭素を吸いこむと、酸素をさしおき一酸化炭素がヘモグロビンと結合。その結合力たるや、酸素の200-300倍ととても強力です(高野, 1978)。
一酸化炭素が身体の中に入ると、酸素がうまくいきわたらなくなり、外気に酸素があるにも関わらず酸欠状態におちいります。初期症状は、頭痛、吐き気、めまい、倦怠感、風邪のような症状。さらに進むと、呼吸や脈拍があがり、意識はあるのに身体が硬直、ひどい場合は死にいたります。
一酸化炭素の対策は?
一酸化炭素は、空気よりも少し軽い気体なので屋外では飛散します。
問題なのは、発生した一酸化炭素の逃げ場がなくこもってしまう屋内です。東京消防庁によると、2015-2020年の間に、都内の住宅で発生した一酸化炭素中毒27件のうち、約6割は七輪や火鉢など炭が原因でした。
炭を屋内で使用するときは十分に換気をして、空気中の一酸化炭素濃度が高くならないようにすることが肝心です。一酸化炭素は、無色透明、無臭なので、私たちは発生しても気がつきません。一酸化炭素を検出しアラームが鳴る検知器、一酸化炭素チェッカーを使うのもおすすめです。ガス濃度がすぐに高くなる車内、テントのなかなど狭い空間では、最初から使わないようにしましょう。
まとめ
私たちの祖先が、長年熱源として使ってきた炭。一酸化炭素も発生していましたが、昔の家は密閉性が低く、自然と換気がなされていました。重要なのは一酸化炭素の濃度です。現代に住む私たちが炭を使う場合は、
- 十分に換気する
- 狭い空間では炭を使わない
- 一酸化炭素チェッカーで確認する
に気をつけて、安全で楽しい炭火を楽しみましょう。
<参考資料>高野健, 1978. 一酸化炭素の生体臓器の組織呼吸に及ぼす影響, 日本衛生学雑誌5:718-729.
木質炭化学会 (著), 谷田貝 光克 (監修), 2007. 「炭・木竹液の用語辞典」 森創社.