炭の魔法

時計のない時間、心躍るおいしさ、自然の癒しをまねく炭。

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庭グルメ・野外グルメには七輪!使いやすさがうれしい炭火ギア

外で食べると、ご飯がおいしい。庭グルメ、野外グルメが人気です。

アウトドアショップに行くと、たくさんの炭火・薪火のコンロやグリルが並べてあって目移りします。ステンレス製は、軽くて使い勝手もよさそう。小型の商品も多くて魅力的です。

それに比べて七輪は旧式なたたずまい。しかし、そんな外観とは裏腹に、炭火使いの三大難点、着火、火の調整、燃費を見事にクリアする構造をもつ七輪。「わたしの推し」です。

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火が起こしやすい

炭を使う時に一番厄介なのが、最初の着火。火が起こらないと、時間だけが過ぎて家族のブーイングの原因にも。火起こしさえうまくいけば、あとは炭を足していくだけです。

他の炭火ギアと比べ、火起こしがラクなのが七輪。七輪は内部が空洞になっていて、中央部に火皿にのせた炭を置きます。煙突効果による上昇気流と火皿の穴によって、炭に酸素がいきわたりやすくなり火が起こしやすい。これは、火起こし器として売られているチャコールスターターと同じ原理です。七輪の場合、下部の送風口からうちわであおいで送風を強めれば、着火はよりスピーディに。

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着火のしやすさから、関西地方では「かんてき」とよばれる七輪。「かんてき」とは、癇癖が変化したもので、ちょっとしたことでもすぐに怒りやすい性質を意味する癇癖と、すぐに火がおこりやすい七輪の特性をかけた呼び名です。

火力が調整しやすい

ガスなどと比べて、火加減が難しい炭火。しかし、炭火も七輪だと、ぐんと火力の調整がしやすくなります。秘密は、送風口のスライド式の扉と火皿。火を強めたいときには送風口を全開に、うちわであおげば、炭火の勢いはさらに強くなります。逆に、扉を閉めると、おだやかな火が保てます。

着火のしやすさと同じで、火皿の位置とその穴が炭への空気の供給をスムーズなものにし、火力の調整に役立っています。さらに、火皿の穴からは、炭が燃えたあとの灰が下に落ちます。炭が灰に埋もれてしまうと火力を強めることができませんが、七輪では火皿が灰の蓄積を上手に防いでくれます。

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効率よく熱量を確保する

乾燥材やバスマットとして見かけることの多い珪藻土

七輪の本体は、この珪藻土で作られています。植物性プランクトンの珪藻の殻が化石化した珪藻土は、微細な穴が無数にある多孔質。乾燥材では、この穴が調湿の役目を果たしますが、七輪では空気層となって保温、断熱効果を発揮します。

七輪の中央部で燃える炭は珪藻土の壁に守られて、熱が上の方向にのみ良く伝わります。また、送風口の開け閉めで酸素の供給量を調整することで、炭の燃えすぎを防ぐことが可能に。保温性の高い素材に加え、熱を側方に逃がさず酸素の適度な調整ができる構造で、七輪は少量の炭でも効率よく熱量を得ることができるのです。

まとめ

庭グルメ・野外グルメ。カセットコンロを使うのも便利でいいですが、炭火を取り入れてみると、香り、おいしさ、音と同じ食材でも違った世界が広がります。2022年新しいことに挑戦したくなったら、ユーザーフレンドリーな七輪で外グルメを楽しんでみてください。

 

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<参考資料>世界大百科辞典 2007年改訂版, 平凡社日本の森林を育てる薪炭利用キャンペーン実行委員会編, 2007. 火のある暮らしのはじめ方, 農文協