毎日見ているお日さまですが、元旦は特別。
太陽のひかりをとてもありがたく感じます。
太陽のエネルギーが、私たちのいのちを支えてくれている。
その仕組みを、まばゆい金色の光で描いた絵本「いきているひかり」(モリー・バング、ペニー・チザム)。2012年に評論社から出版されたこの本は、一年でもっとも太陽を意識する今の時期に手に取りたい一冊です。
太陽の恵み
太陽のひかりの恵みといえば光合成。光合成がなければ地球は岩と水の星、いのちは存在できなくなってしまいます。学校で習う光合成、言葉では理解していても、なんだか無機質。
その点、絵の力はとても雄弁です。「いきているひかり」では、葉緑素(クロロフィル)、フォトン、酸素や二酸化炭素の分子といったミクロな世界がエネルギッシュに描かれていて、光合成のプロセスが皮膚感覚で伝わってきます。
著者の一人、ペニー・チザムさんはMITの教授。植物プランクトンの研究者で、様々な賞を受賞されています。科学的な研究の内容を、専門家だけではなく社会のすべての人々が理解できるようにするオープン・アクセスの先駆者のひとりとしても有名です。
いのちがつながっている
この本のもう一つの大きなメッセージは、光合成を担うのは植物であり、植物なくしては、私たち動物は、太陽のエネルギーを体内に取り入れることができないということです。すべてのいのちは、炭素によって植物や、光合成に、そして太陽につながっている。そのことを、実感させてくれる「いきているひかり」。
とても目まぐるしい時代です。けれど、太古の昔から変わらない自然の仕組みに私たちのいのちは支えられている。太陽、植物、他の生きものたちとのつながりを思い出すと、不安や緊張感が消えていく気がします。