炭の魔法

時計のない時間、心躍るおいしさ、自然の癒しをまねく炭。

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埋炭の効果1:湿度調節で建物を守る!

日本の雨期、梅雨。

梅雨時期に欠かせない湿気対策。押入れ、クローゼット、下駄箱にこもる湿気取りに役立つ除湿剤や調湿剤には、活性炭や木炭を使った製品もよく見かけます。

炭の活躍は室内の湿気にとどまりません。

地中に埋めたり、床下に敷いてもパワーを発揮。

今回は、埋炭の効果シリーズ1回目です。

埋炭とは?

炭を地中に埋める埋炭。

奈良や京都のお寺や神社では、本堂やお茶室の下に炭が埋められているといいます。正倉院にも炭が埋められているとか。

床下に炭を敷き詰める敷炭。神社仏閣では、埋炭と同じく行われてきました。現代でも、1990年代に商品化された床下調湿炭は、30年経った今でも根強い人気があります。

炭の調湿作用

炭は多孔質。一般的な炭の比表面積は約300m2/gと、木材などに比べたくさんの水分を吸収できる特徴が。敷炭をした場合、最も多湿な夏の床下でも、相対湿度を95%以下に、床下の木材含水率は20%以下に抑えたという研究結果があります。

湿気を取るだけではないのも炭の個性。湿度が高いときには吸収し、湿度が下がると吸着した水分を放出、炭の水分は空気中の湿度に比例して変化します。雨の多い時期は水分を吸収、真夏や冬の乾燥した時期には放出して、湿度を自動的にコントロール。メンテナンスフリーで、半永久的に使えます。

家の寿命を延ばす炭

金属や木材のように、なかなか水を吸収しない物質は、空気中の水分が飽和状態になると結露を起こします。結露が多い状態のままにしておくと、木材を腐らせる腐朽菌の繁殖や、湿った木材を好むタイプのシロアリの被害拡大に。

建物の下に炭を埋めたり、床下に炭を敷くことで、湿気を取り除き、腐朽菌やシロアリ被害を防ぎ建物を長持ちさせることができる。木造建築文化ならではの炭使いです。

水分だけでなく、好ましくない臭いも吸着する炭。空気を浄化してくれる効果も肌で感じていたため、先人たちは本堂や茶室などの下に炭を埋設したのかもしれません(炭の空気浄化効果についてはこちらをどうぞ)。

おわりに

埋炭には、他にも効果があります。

日本のナチュラルチーズの草分け「共働学舎新得農場」。

ヨーロッパで開催される「山のチーズオリンピック」で、日本のチーズとして初のグランプリを受賞しています。国内外で高い評価を受けている共働学舎、設立以来埋炭を続け、その効果を強く実感しているそうです。

本場で高評価を得るチーズづくりを支える埋炭。

調湿作用にとどまらない埋炭の効果については、次回に!

 

sumimagic.hatenablog.com

<参考資料>岸本 定吉 (監修), 2001「炭人たちへ―炭博士にきく木炭小史」DHC刊;炭活用研究会(編著)杉浦銀治(監修), 2014「図解よくわかる炭の力」日刊工業新聞社;宮嶋望の発言と実践, http://nozomu-miyajima.net/?page_id=192;宮嶋望, 2022, 炭埋で環境を整える, 土と健康, 513:17-19