夏が終わって涼しくなり始めたころ、明け方の冷たい空気を吸い込んで咳が止まらなくなりました。小児ぜん息を患っていたこともあって、肺は身体のなかでも弱い器官です。けれど、今回は、冷たい空気を吸うたびに咳込み、空気を吸うのが怖くなる。
こんな経験は初めてでどうにかしなければと思ったときに、頭をよぎったのが祖父の乾布摩擦です。大人になってぜん息の発作に悩まされた祖父は、乾布摩擦に取り組み、咳は止まりました。東洋医学では皮膚と肺は関係があり、肌が弱い人は肺も弱いと考えられています。乾布摩擦なら今すぐ試せる、やってみることにしました。
乾布摩擦には、桜の樹皮で染めたタオルを使おう。今年の春に、山から採ってきてもらった桜の樹皮でタオルを染めていました。けれど、色も薄く染めムラも目立ち、あまりきれいに染まらなかったので、使うあてもなくしまったままでした。
使う前に、タオルを染め直すことに。水に桜の樹皮を入れて煮だした染液を作り、他の七輪仕事のあとの残り火を利用して染め直します。何回か繰り返すと、色も自然と濃くなり、タオルからはほのかに木の香りがするように。このタオルで乾布摩擦をすると、まるで桜の木が一緒に身体を磨いてくれているようでありがたくなります。
肝心の明け方の咳ですが、乾布摩擦をはじめてすぐに止まりました。咳が止まったのはたまたまかもしれません。ただ、桜と一緒に乾布摩擦をすると、気持ちが上向きになって身体も温まるので、これからも続けていこうと思っています。