炭の魔法

時計のない時間、心躍るおいしさ、自然の癒しをまねく炭。

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実は短い美味しい期間:気になるお米のにおいに炭炊飯!

ふたを開けたときに立ちのぼる、ご飯の香り。

精米したてのご飯の香りは最高のごちそうです。

穀物のお米、籾のままであれば長期保存が可能ですが、白米は野菜などと同じ生鮮食品。精米したお米が美味しい期間はどのぐらい?そして、旬を逃したお米の気になるにおいをとってくれる炭炊飯とは?

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お米の美味しい期間

精米したお米の鮮度は、時間とともに下がっていきます。

特に重要なファクターは温度と湿度。

精米したお米が美味しく食べれる期間は、収穫したての10月から3月までは2カ月、4、5月で1カ月、夏場はもっと短くなります。これは目安で、お米のエキスパートのお米屋さんたちは、精米してから2週間以内が美味しくいただく秘訣だといいます。

炭炊飯で古米のにおいを除去

防災対策で、大きな容器に保存していたお米。

ローリングストックしようと開けてみると劣化していました。うっかり気温が高くなる場所に置いておいてしまい、反省です。

古米独特のにおいは、炊くとさらに強くなりましたが、炭を入れて炊飯すると気にならないレベルに。

古米臭は、お米の脂質が酸化分解したにおいです。このにおい成分を吸着してくれるのが炭。炭は木材の骨格組織がそのまま残っていて多孔質、炭1gに200~400平方メートルの表面積を持ちます。大きな表面積による吸着力の強さが炭の消臭パワー。古米のにおいを吸着することが研究結果より明らかとなっています。

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炭炊飯の始まり

炭を入れる炊飯方法は、1993年の気象災害による米不足の時に考案されました。この年は、記録的な冷夏、台風、大雨などの影響で大凶作。深刻な米不足の解消に、タイ米が緊急輸入されることに。しかし、東南アジア料理が一般的でなかった当時、タイ米はなかなか受け入れられませんでした。輸入米を国産銘柄米のように日本人好みに炊く、そのために考えられた炭炊飯です。

炭炊飯の考案者は、生活文化研究家の緑川礼さん。炭・木酢液の利用法の多くは緑川さんのアイディアによるものだそうです。

国産銘柄米への効果は?

炭を入れて炊くと、国産銘柄米にはどのような効果があるのでしょうか?

日本晴は、コシヒカリが人気になる前に最も作られていた銘柄米。この日本晴を使った比較試験では、炭炊飯のおおきなメリットは、保温中にあらわれました。炭を入れて炊くと、18時間後も、保温にともなうにおいや変色が抑えられました。一方で、炭を入れても入れなくても、良質米の食味には大きな違いはみられませんでした。

おわりに

日本の炊飯器は高機能。遠赤外線効果で美味しく炊き上げたり、保温時のにおいや黄ばみの発生も防いでくれます。けれど、においを取り除く機能はまだ開発されていないもよう。少しずつ酸化していくお米、古米臭が気になったら、炭炊飯で美味しく再生するのも一案です。

炭炊飯に適した炭や分量については、こちらをどうぞ!

sumimagic.hatenablog.com

<参考資料> 岸本定吉(監修)池嶋庸元(編著), 2001.「木炭の博物誌」 DHC刊;炭活用研究会(編著), 杉浦銀治(監修), 2014「図解よくわかる炭の力」日刊工業新聞社土田 典明, 桒原 賢次, 2019.「米飯臭気の化学分析と竹炭による臭気成分の低減効果」日本食品科学工学会誌. 66:1-8.;細川健次, 1996. 「Q & A」炭素173:188;八木 宏典, 2019「最新版 図解 知識ゼロからのコメ入門」家の光協会